電気的特性

 CMCは、炭素材料です。ダイヤモンド 、鉛筆の芯に使われているグラファイト、サッカーボール状のフラーレン、筒状のカーボンナノチューブ 、ダイヤモンドに似たダイヤモンドライクカーボン、結晶性の低い非晶質炭素等もまた炭素材料です。 不思議なことに、鉛筆の芯は電流を通しますが、ダイヤモンドは電流を通しません。カーボンマイクロコイルは、どうでしょうか?カーボンマイクロコイルは、鉛筆の芯(グラファイト)と同じように電気を流します。しかし、炭素原子の並び方が鉛筆の芯とCMCでは違うため、電気の流れ 易さ(電導度)が異なります。
 CMCは、炭素原子の配列がランダム(アモルファス)であるため、従来の炭素材料とは異なった電気的特性を示します。

図はCMC1本の外気温度に対する電気抵抗を示します。 製造したそのままの状態のCMC(as-grown CMC)は、数十kΩオーダーの抵抗体です。ところが、CMCを1000℃以上の高温で熱処理する と、電気抵抗は数kΩまで小さくなります。 (図中の■、▲、●。温度、時間はそれぞれ熱処理条件を示します。)これは、熱処理を行うことでアモルファスの炭素原子が規則的に配列し結晶状態(グラファイト)になるためです。

CMCは、外気温度に対して電気抵抗値が変化します。例えば、as-grown CMCは、温度上昇にともない電気抵抗が小さくなり、半導体的な性質を示します。

(図提供:岐阜大学)

CMCは、バネのような伸縮特性を持ちます。CMCを伸ばしたときの電気抵抗はどうなるでしょうか。

図は、CMC1本を伸ばしたときの電気抵抗を示します。CMCが伸張するごとに電気抵抗が大きくなります。また、図には示されていませんが、伸びを戻すことにより、 電気抵抗も元に戻ります。

(図提供:岐阜大学)

容器の中に無秩序に入れたCMC(バルクCMC)の電気抵抗値は、嵩密度の上昇にともなって低下します。
as-grown CMCの電気抵抗値は、○印で示されています。高温で熱処理したCMCの電気抵抗値は▲、■、●で示されています。
▲、■、●の熱処理の条件は、同じですが、それぞれCMCの繊維長が異なります。それらの長さは、▲>■>●という関係にあります。また、○と▲は同じ繊維長のCMCです。
CMC1本では、as-grown CMCの方が熱処理したCMCよりも電気抵抗値が高く、バルクCMCでは、as-grown CMCの方が熱処理したCMCよりも電気抵抗値が低くなっています。

(図提供:岐阜大学)

その他の炭素繊維とバルク状態での電気抵抗値を比べてみましょう。CMCは他の炭素材料に比べて電気抵抗値が低い、つまり導電性が高いといえます。

(図提供:岐阜大学)

CMCには、どれだけの電流を流せるのでしょうか。

CMCを元長の1.5倍に伸ばす前(before)は、低電圧で電流を流せますが(抵抗が低い)、CMCを元長の1.5倍に伸ばした後(after)はそれよりも高い電圧で電流を流せます(抵抗が高い)。
また、CMCを伸ばす前(before)は、約600μAの電流を流すと切断し、CMCを伸ばした後(after)はそれよりも小さな電流で切断します。

Synthetic Metals 103(1999)2578-2579より)
 


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